2014年3月20日木曜日

21回目 「里山資本主義」を実践しよう!


2013年8月16日 (金)

21回目 「里山資本主義」を実践しよう!

■H25年8月16日
21回目「里山資本主義」を実践しよう!
    ~マネー資本主義にはもうこりごり~

<アベノミクスはアホノミクス?>
 これまで何度か申告いたしましたが、私は「理科系人間」です。「文系人間」とはどうも相性がよくない。「経済」という言葉も好かない。「スポーツ大会」や「イベント」の経済効果は○○です。・・という言葉を聞くと、「俺らは経済効果のために生きているのではない!」と思ってしまう。ましてや「サマータイム導入による経済効果はXX」なんぞ「人をバカにするな!!」と叫びたくなる。(なりませんか?)
 まずもって「金の勘定」が苦手です。今でも事務所の帳簿をつける際、頭から金額を記入すると千円単位の「,」の位置を間違えるので、尻のほうから書いたりする。そんな人間ですので、経済についても浅薄な知識しか持たない。無意識に「経済」を遠ざけてきた・・
 これはまずいと思い、暇な時、「アベノミクス」についての動画をボーっと見ていた。語り手は経済学者の浜矩子氏。この人はTVで見ても怖そうな表情Photo_4 をしているし(ごめんなさい!)、ぼそぼそとしゃべるので、あまり積極的に語る内容を聞いた事無かったのですが、なかなか切れ味鋭く、淡々と知的なジョークをはさみながら理屈をきっちり説明する。「アベノミクスはアホノミクス」と表現し、いかに時代遅れな政策であるかを容赦なく解析する。
 「ああそうやったんか」と思いながら聞いてると、インタビュアー(神保哲生氏)が「では日本のど ういうところに良いきざしが見出せるか?」と質問した。でまた例によってぼそぼそと「私たちは『里山資本主義』と呼んでるんですけど・・・」と語り始めた。
(YOUTUBE「アベノミクスは浦島太郎の経済学だ」http://www.youtube.com/watch?v=2CInH3eo10k
*里山資本主義については40分頃から)
<里山資本主義とは?>
 里山資本主義と聞くと何となく「田舎暮らしの経済学」のことかな?と思ってしまいそうですが、そうではありません。グローバルな「マネー資本主義」に対抗する原理です。もともとはNHKの広島放送局が中国地方の里山で元気な活動をしている人々を取材した番組に由来します。この番組のナビゲーターは藻谷Photo_3 浩介氏(「デフレの正体」の著者です。「里山資本主義」も新書化されています。<角川oneテーマ21>)
 
NHKというところは不思議な組織ですね。「温暖化」や「原発報道」では事実に反すると非難する科学者がいる一方、(私もそう思いました。)「復興予算の無駄使い」をスクープしたり、「原発の廃炉方法は確立していない」と、はっきり報道して、これには原発関係者が反論したりしています。多分、考え方が一方向的でセカンドオピニオンの検証が十分ではないのでは?ともあれ、この番組は評価に値すると思います。広島という地方局が渾身の気合をこめて世に問うたのではないか?NHKの番組動画がNHKのサイトで全部見れるというのも異例かと思いますが、この理由によるのではと思います。詳しくはhttp://www.nhk.or.jp/eco-channel/jp/satoyama/interview/motani01.htmlを見てください。ただ番組は一般視聴者用なのでビジュアルな要素が強調されています。理論については先ほどの「里山資本主義」をお読み下さい。
 
この文章を理解していただくために、とりあえず簡単に説明いたします。例えば岡山県真庭市の建材メーカーでは電力の買い取り価格が今ほど高くなかった時代から、工場で発生する木くずを使った発電を行ってきました。木くずを捨てるのにコストがかかる事を比べると原価は0円です。(これを役所主導で「バイオマスエネルギー」とか言って、そのために木を切って発電すればかなりのコスト高になります。)しかも電気代は、地元に落ちるので、地元経済が回ります。木くずは暖房にも使えます。これで地元の農業用ビニールハウスの暖房に使えば、「安定したエネルギー」となります。なぜなら、中東で紛争が起こって原油価格が高騰し、農家や漁師さんたちがとばっちりを受けるということが無くなるからです。
 また島根県美ノ郷町の耕作放棄地では、人口飼料を使わず、山草を利用した放牧により、おいしい牛乳を生産する若者がいます。この様に里山では「近代合理主義的生産」の影で忘れ去られている資源、お金に換算できない資源が未利用のまま眠っています。他にも「お年寄りの労働力」「近所付き合い」「ほっと一息つける自然」も資源になります。これらを活用して、地域経済を回して行くことが、行き詰った「マネー資本主義」にとって替わる(正確にはミックスして存在するのですが)経済原理になるのではという考えです。キーワードは
「地域が自立する」ということ。

 

<時代は中央集権的管理から分権的協調へ>
 
ここまでの説明ではまだ「都会人には関係ないよ!」と思っておられる方がほとんどかと思います。そうではなくて「里山資本主義」の考え方は都市にも応用できますし、様々な局面から、同様の考え方が叫ばれています。世の中を冷静に見つめる人達はいろんな分野で同じような結論に至りつつあるのです。
 例えば社会学。
宮台真司はこう語る。「現代社会ではかつて利Miyadaishinji益共同体であった中間社会(個人と国家の間にある社会。例えば「農村」)が崩壊してしまった。→個人の価値観がバラバラに存在する→個人の意見や利益を元に政策を決定するのは不可能→この状況で民主的に物事を決定するには『参加と自治』の実現しかありえない。→そのためには『手が届く範囲』で物事を決定していく必要がある。」彼はこの「参加と自治」の仕組みが日本に存在しないと嘆くが、全くその通りと思う。(というか実感している。)地方が国のお仕着せの事業を疑念を持たずにこなしている体制は何としても変えないといけない。橋下徹氏石原慎太郎氏も体験的に実感しているので地方分権は絶対条件と感じているのですが、実感のない国民にとっては今だぴんとこないのでしょうかね?
 電力供給における
スマートグリッドも同様の考え方だと認識しています。すなわち今まで送電・配電は電力会社のインフラストラクチュアだけに頼っていました。この構造が脆弱である事は福島第一の事故で証明されました。今後は電力を地産地消し、余った所から不足する所へと効率よく電力をまかなう、というネットワークを組む事により、よりアクシデントに強い、しなやかな構造が成り立つわけです。
 文章で説明しだすときりがなさそうなので、ビジュアルな模式図を作ってみました。
1m

 宮台真司氏は
「そもそも日本には民主主義が成り立っていない。(上の模式図にも書きましたが)バブルの絶頂期においてさえ、日本における幸福度指数は世界で80位くらいだった。この国の国民は不幸だ。」と嘆きます。全くその通りだと思いますし、状況はますます悪くなってるのではないでしょうか。裁判に無理やり参加させられるよりも、民主主義を機能させるために汗を流したほうがよさそうです。もちろん国民にその覚悟がないとだめなんですがね。
<藻谷浩介氏の苦悩>
 
藻谷浩介氏
は地域振興が専門で、日本のほとんどの市町村の実態が頭に入っていると言う。そういう人物だからこそ部分と全体の両面から物事を見る事によって「里山資本主義」の概念を導き出せたのでしょう。私は街づくりに興味があるので「里山資本主義」を先に読み、後から「デフレの正体」を読みました。
 
「デフレの正体」は本人も書いてるように、工学系の人間向きです。なぜなら物事を根拠に従って理屈立てて論を組み立てているからですが、得られた結果は「経済学の常識」とは相容れないものです。よって「経済学」に通じる人達からは非難されています。このブログでも何度か述べてきましたが「空気ではなく、理性で論じる人間はバッシングされる」の典型例です。私はこういう人達が好きです。頑張って欲しいと思います。
 大体「空気で物を言う」人達の特徴は、実証的に定量的に語らないことです。例えば「TPPに参加しないとバスの最終便に乗り遅れる」とか。・・藻谷氏は「アベノミクス」にも疑問を投げかけています。中身は「デフレの正体」に詳しく書かれています。で、「アベノミクス」の仕掛け人でもある
高橋洋一氏の説明も聞いてみました。彼の説明の多くの部分は「これは経済学の常識です」でした。・・・・・「経済学」と「実体経済」は乖離しているということの証左ですね。福島第一の事故により「原子力技術」と「原子力産業」は乖離していることがわかったことを教訓にできていないわけですね。
 
宮台真司氏はこういった社会を正常化するために中沢新一氏らと立ちあげた団体(グリーンアクテイブ)の設立趣意書の冒頭に以下の様に記していることを紹介してこの文章を締めたいと思います。


日本はいまだに民主主義の社会ではない。

民主主義を獲得するには政治文化の改革が必要だ。

それは以下のような変化である。

〈任せて文句たれる社会〉から〈引き受けて考える社会〉へ

〈空気に縛られる社会〉 から 〈知識を尊重する社会〉へ



http://rib-arch.cocolog-nifty.com/blog/2013/08/21-3b29.html

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