2014年5月21日水曜日

マイクロ波の可聴



電子レンジ マイクロ波 水 part 2



電子レンジを製造、販売している家電メーカーのウェブサイトを見て、
心底、驚きました。
 
電子レンジについて、一般消費者向けにパンフレット形式で
書かれたサイトで、
 
『電波が食品に含まれている水分子を振動させて摩擦熱を発生させ、
その熱が広がって食品全体が温まります。』
 
と記載されています。
 
摩擦熱を発生させるという部分が間違っています。
 
その家電メーカーの技術力を一気に信じなくなってしまいました。
 
摩擦熱は、物体と物体が接触して、相対的に運動しているとき、
その接触面で発生します。
 
摩擦熱の例示は、自転車のブレーキです。
 
自転車にブレーキをかけると、車輪のリムにゴム片を押し付けて、
リムとゴム片が摩擦します。
 
自転車をブレーキで停止させた後、ゴム片を触ると、
熱くなっています。




摩擦熱が発生して、ゴム片が熱くなったのです。

一方、水分子は、H2Oと表記され、
1つの酸素原子と2つの水素原子で構成されています。

水分子のサイズは約0.38ナノメートルです。



1ナノメートル(nm)は、1メートルの10億分の1であり、
到底、眼で見えるサイズではありません。

眼では可視光を感知していますが、
可視光の波長が約300nm~800nmであり、
可視光の波長より水分子が小さいのです。
 
水分子が振動しても、水分子と水分子が「摩擦」することはありません。

水分子のサイズが1ナノメートル以下であり、あまりにも小さいので、
「摩擦」という物理現象で説明できないのです。

電子レンジは、水が含まれていない物も加熱できますが、その詳細は、

電子レンジ、マイクロ波、水という記事にあります。



電子レンジ、マイクロ波、水


 
電子レンジはマイクロ波を使って食品を加熱します。
 
通常、マイクロ波は水分子を振動させるので、
水分を含む食品を加熱できる、
というような説明がされています。
 
それでは、お皿を1枚、電子レンジに入れて、
1~2分、お皿を温めてみましょう。

お皿に食品を置かないで、チンするのです。
 
お皿は陶器で造られており、
お皿の内部構造に水分は含まれていません。
 
電子レンジからお皿を取り出すと、お皿は熱くなっています。
 
手で触るとヤケドするかもしれないので、注意してください。
 
お皿の代わりに茶碗を電子レンジでチンしても同じ結果になります。
 
茶碗だけをチンしても、ちゃんと熱くなります。

水分がないお皿でもお茶碗でも加熱できます。

どういうことなのでしょう?

結局、マイクロ波がお皿、茶碗に吸収されて、
熱に変わるのでしょうね。
 
お皿、茶碗に食品があると、
マイクロ波が、お皿、茶碗に吸収されて熱に変わるだけでなく、
マイクロ波が食品に吸収されて、熱に変わるのでしょう。
 
熱とか温度は物理的には、分子の振動ということになります。
 
お皿、茶碗の温度が高いということは、
お皿、茶碗を構成している分子の振動が大きくなることを意味します。

お皿だけを電子レンジでチンするという簡単な実験をするだけで、
マイクロ波の性質が良く分かるようになります。
  


マイクロ波の電力密度



電子レンジ
 
最近はどの家庭にも電子レンジがあります。
 
電子レンジはマイクロ波を照射して、食品などを温めます。
 
電子レンジに使われているマイクロ波は、
周波数が2450メガヘルツであり、
波長は、12.2cmになります。
 
電子レンジに使われているマイクロ波の波形は
連続したサイン波形であり、
パルス波形でありません。
 
市販されている電子レンジの電力は、
概ね800~1300ワットの範囲になります。
 
計算しやすくするため、出力1000ワットとします。
 
小型電子レンジの内部に設置されている回転テーブルのサイズは、
直径25cm、半径12.5cmの円になります。
 
回転テーブルの面積は、約500平方センチメートルになります。
 
12.5(cm)x12.5(cm)x3.14
=490.6cm2
 
すると、概算で、1000ワットの電力のマイクロ波が、
500平方センチメートルの面積に照射されることになり、
マイクロ波の電力密度は、
1平方センチメートル当たり2ワットになります。

 
マイクロ波聴覚効果の電力密度
 
マイクロ波はパルス波形のとき、人間の聴覚を刺激します[1~8]。
要するに、マイクロ波は直接、聞こえるということです。
 
しかし、マイクロ波の波形が連続波のとき、マイクロ波は聞こえません。

 
マイクロ波聴覚効果が発生する電波の電力密度は、
電波の周波数、パルス幅、パルス繰り返し回数などに依存します。
 
例えば、周波数1.31GHz、パルス幅6マイクロ秒、
1秒に224回というパルス繰り返し回数という条件では、
1平方センチメートル当たり、0.4ミリワット以上で、
マイクロ波パルスが聴こえます。
 
この数値は、下記のフレイ論文、表2がソースになります。
 
J. Appl. Physiol. 17(4):689-692. 1962
Human auditory system response to
modulated electromagnetic energy.”
ALLAN H Frey
 
アラン・フレイらは、
Human Perception of Illumination with
Pulsed Ultrahigh-Frequency Electromagnetic Energy"
という論文をサイエンス、1973、
Vol 181、356~358ページに投稿しています。
 
この論文では、1.245GHzの周波数のマイクロ波を使って、
1秒に50回パルスを照射して、聴覚を刺激している。
 
すると、平均電力密度は1平方センチメートル当たり
0.32ミリワットでマイクロ波が聞こえることになる。
 
比較
 
電子レンジの平均電力密度は、
1平方センチメートル当たり2ワット(2000ミリワット)であるのに対して、
マイクロ波が聞こえるときの平均電力密度は、
1平方センチメートル当たり0.4ミリワットとか、
0.32ミリワットに過ぎません。
 
電子レンジの電力密度より1000分の1以下、
おおよそ5000分の1前後であっても、
マイクロ波は聞こえます。

繰り返しになりますが、電子レンジでは連続波を使っているので、
マイクロ波が聞こえないのです。
 
 

次に、壁透過レーダーを使って、
屋外から屋内の人にマイクロ波ビームを照射した場合を考察します。
 
マイクロ波ビームが壁に照射されたとき、
一部は壁で反射し、一部は壁に吸収され、残りは壁を透過します。

マイクロ波ビームがコンクリート壁に照射された場合、
おおむね10分の1(20dB)程度、透過すると仮定します。
 
壁が3枚あると、1000分の1(60dB)が透過します。
 
すると、電力0.32ワットの送信機から、
断面積1平方センチメートル
(断面がおおむね直径1cmの円)の
マイクロ波ビームを頭部に照射して、
電力密度が1000分の1に減衰した場合、
ターゲットの頭部に平均電力密度が1平方センチメートル当たり
0.32ミリワットのマイクロ波が照射され、聴覚を刺激します。

ちなみに、携帯電話の最大出力であっても、1ワット以下です。
 
壁が6枚あった場合であっても、
必要な送信機の出力は320ワットに過ぎません。
 
ちなみに、周波数35GHzの電波は、空気を1km透過したとき、
0.02dB減衰します(米国特許7486224号)。

100kmであっても2dBしか減衰しません。

壁と比べると誤差の範囲ですね。
 
複数の壁、空気の減衰、その他のノイズなどを考慮しても、
送信機の出力は、1000ワットもあれば十分です。


脚注
 
1.マイクロ波の可聴に関する最初の報告
 
Airborne Instruments Laboratory,
An observation on the detection
by the ear of microwave signals,
Proc IRE 44:2A, (1956).
 
2. Frey, A. H.,
Auditory response to pulsedradiofrequency energy
to human auditory system”
Journal of Applied Physiology 1962、17(4)689~692ページ
 
「変調された電磁波エネルギーに対するヒト聴覚系の応答」
 
この文献の詳細は下記の記事になります。
 
3.コーネル大学フレイ教授は、新たな会社に勤務した後、
サイエンスに下記の論文も投稿しています。
 
Science 27 July 1973:
Vol. 181 no. 4097 pp. 356-358
Human Perception of Illumination with 
Pulsed Ultrahigh-Frequency ElectromagneticEnergy
Allan H. Frey, Rodman Messenger Jr.
 
マイクロ波刺激で聴こえる音を大きくしたり、
小さくする条件を解明しています。
 
詳細は下記の記事です。
 
 
4.「マイクロ波の可聴;
マイクロ波パルスによる熱弾性波聴覚刺激の証拠」
 
Science 19 July 1974:
Vol. 185 no. 4147 pp. 256-258
 
"Microwave Hearing: Evidence forThermoacoustic 
Auditory Stimulation by PulsedMicrowaves"
 
Kenneth R. Foster and Edward D. Finch
Naval Medical Research Institute,
National Naval Medical Center,
Bethesda, Maryland 20014
 
米国海軍が作成した上記論文は、下記の記事で紹介されています。
 
 
 
5.Taylor EM, Ashleman BT
"Analysis of Central Nervous SystemInvolvement 
in the Microwave Auditory Effect"
Brain Research 74:201-208; 1974

E.M.テイラー、B.T.アシュルマン、
「マイクロ波聴覚効果における中枢神経系の関与」、
脳研究、74:201-208、1974
 
この文献については、下記の記事です。
 
 
6. 「マイクロ波パルスにより発生する蝸牛のマイクロホン電位」
”Cochlear microphonics generated bymicrowave pulses”
 
Chou C, Galambos R, GuyAW, Lovely RH
 The Journal of Microwave Power [1975,10(4):361-7]
 
 
マイクロ波聴覚効果と蝸牛」という記事がこの論文を紹介します。
 
 
7.社団法人 電気学会
高周波電磁界の生体効果に関する計測技術調査専門員会 編集
1995年2月10日付けで、コロナ社から出版
 
 
8.1999年6月
世界保健機構(WHO)
電磁波と公衆衛生「レーダーと人の健康」、4ページ
 
 
この文献については、
「レーダーと人の健康:レーダーで幻覚を発生する生理機構」
という記事で解説しています。
 
 
都合の悪いことは隠蔽する厚生労働省より、
世界保健機構の信頼性は高いでしょうね。

9.壁透過レーダーは、米国防総省が機密解除しています。

Dr. Edward J. Baranoski, DARPA/STO
THROUGH WALL IMAGING:
HISTORICAL PERSPECTIVE AND FUTUREDIRECTIONS”
Journal of the Franklin Institute

Volume 345, Issue 6, September 2008,Pages556–569
  


マイクロ波の可聴に関する最初の報告



マイクロ波の可聴に関する最初の報告は、
1962年にコーネル大学アラン・フレイ教授が発表した学術論文と、
このブログで紹介していました。
 
実は間違っていたので、訂正します。
 
1956年にマイクロ波の可聴が学術論文に発表されていました[1]。
 
この論文によると、1947年にマイクロ波の可聴が
観察されていたのです!
 
空挺計器研究所(Airborne Instruments Laboratory Inc.)は、
第二次世界大戦中に米国ニューヨーク州ロング・アイランドに
設立されており、軍事レーダーを開発する企業である。
 
1947年に、空挺計器研究所の会社員が、
レーダーのホーン・アンテナの前に立ったとき、
ホーン・アンテナから発射されるマイクロ波パルスが聞こえたという
現象を観察している[1]。

イメージ 1


ホーンアンテナの図は、engineering-eye.comより引用しました。
 
レーダーのパラメータは下記の通りである。
 
出力は約0.5メガワット、即ち、50万ワットである。
 
周波数が1300MHzであり、
パルス幅が2マイクロ秒であり、
パルス繰り返し回数は1秒に600回である[1]。
 
この現象について懐疑的な人達が多かったので、
そのような人をレーダーのアンテナの前に招待して、
説得している[1]。
 
マイクロ波が眼に照射されると、白内障を発症することがあるので、
注意が必要である。
 
1平方センチメートル当たり0.5ワット以下に設定するのが、
安全基準である[1]。
 
空挺計器研究所は、コロンビア大学グループが
第二次世界大戦中に設立した[2]。

第二次世界大戦中、
国防研究評議会(National Defense Research Council)の指示により、
空挺計器研究所はレーダーの開発を担当している。
 
1969年の時点において、
空挺計器研究所は、ニューヨーク州ロング・アイランドにある
Cutler Hammerという企業の一部門になっており、
現在は存続していない[2]。
 
ちなみに、国防研究評議会(National Defense Research Council)は、
第二次世界大戦中にレーダーの開発だけでなく、
マンハッタンプロジェクトも指示しており、
マンハッタンプロジェクトで原爆を開発した。
 
このようにレーダーとか、マイクロ波の可聴という現象は、
国家安全保障と密接に関係するものである。
 
すると、マイクロ波の可聴を応用した通信機は軍事技術であり、
軍隊、自衛隊しか使用することができない。
 
お隣さんとか、どこかの宗教団体が、
マイクロ波の可聴を応用した通信機を使っているという主張は
馬鹿げている。
 
文献
 
1  Airborne Instruments Laboratory,
An observation on the detection
by the ear of microwave signals,
Proc IRE 44:2A, (1956).
 
2. “We have changed our name” IEEE spectrum July 1969, page 7
  


ネイチャー サイエンス



小保方氏のSTAP細胞の論文はネイチャー(Nature)という雑誌に
掲載されており、下記のネイチャー公式サイトで閲覧できる。
 
 
そこで、今回は、ネイチャー(Nature)という雑誌について述べる。
 
大学の研究室、理化学研究所などの研究所は研究をしている。
 
この研究結果は専門雑誌に発表される。

このような専門雑誌を例示する。
 
物理学では、Physical Reviewという専門雑誌がある。

化学では、Journal of the American ChemicalSocietyという専門雑誌がある。

微生物学では、American Society for MicrobiologyJournals
という専門雑誌がある。

細胞学では、Cellという専門雑誌がある。

医学では、Journal of the American MedicalSociety, 
New England Journal of Medicineなどの専門雑誌がある。
 
これらの雑誌は、特定の学問領域に限定されている。
 
これに対して、Natureという雑誌には、
物理、化学、生物学、医学、天文学、気象学など、
あらゆる分野の論文が掲載されている。
 
これに伴って、あらゆる理系専門家がNatureを読んでおり、
サイエンスの世界において、インパクトが大きいのである。
 
小保方氏の研究は万能細胞に関するが、生物学、医学の専門家以外、
例えば、物理学者、化学者であっても関心がある論文なので、
Natureに掲載されている。
 
更に、サイエンス(Science)という雑誌もあり、
Natureと同様に広範な科学分野を網羅している。

Nature, Scienceという専門雑誌は、特別に格が高いのである。
 
ところで、このブログでは、マイクロ波が一定の条件で聞こえる
という話題が繰り返し登場している。

この実験結果は、1973年にも1974年にも
サイエンスという雑誌に掲載されている[1、2]。

マイクロ波が聞こえるというのは極めて画期的な実験結果なので、
サイエンスという雑誌が取り上げたのである。


文献 

1 Science 19 July 1974:
Vol. 185 no. 4147 pp. 256-258
Microwave Hearing: Evidence for
Thermoacoustic Auditory Stimulation byPulsed Microwaves
Kenneth R. Foster, Edward D. Finch
 

2 Science 27 July 1973:
Vol. 181 no. 4097 pp. 356-358
Human Perception of Illumination with
Pulsed Ultrahigh-Frequency ElectromagneticEnergy
Allan H. Frey, Rodman Messenger Jr.
  



http://blogs.yahoo.co.jp/patentcom/folder/451909.html

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