2014年5月8日木曜日

素粒子   右巻き 左巻き  レプトン



第3回:ビッグバンから100億分の1秒後のニュートリノ(詳しい編)

『世の中には、「反物質」より「物質」が圧倒的に多く観測されています。しかし、この事実を素粒子論の「標準理論」では、説明することはできません。ビッグバン直後のニュートリノの振る舞いがこの難問を解決してくれるかもしれません。』
KMI理論計算物理室の三浦光太郎研究員にお話をうかがいました。
ー ニュートリノってなんでしょうか?
 ニュートリノについて説明する前に、まず、現代素粒子物理学において理論-実験両方で成功した基本理論「標準理論」について簡単にお話しします。標準理論では、自然界の基本的構成要素として2つの種類の物質粒子(6種類のクォーク、6種類のレプトン)と物質粒子の間の相互作用を媒介するゲージ粒子を含みます。(図1参照)
 図1:素粒子の表。ヒッグス粒子は、2012年にCERNの大型加速器実験で発見された。ヒッグス粒子は、素粒子の質量の起源であり、また、図3で示す「弱い相互作用」と「電磁相互作用」の分岐を引き起こす。
原子は陽子と中性子からできている原子核と電子からできていると習ったと思いますが、実は、陽子と中性子はクォーク、グルーオン(ゲージ粒子の1種類)の複合粒子で、バリオンと呼ばれます。電子はレプトンです。電子の他に、電子と同じ電荷を持つ荷電レプトン、ミューオン(μ)、タウ(τ)があります。ニュートリノは電荷を持たないレプトンです。中性子が陽子と電子に崩壊するベータ崩壊では、実は、電子とペアでニュートリノもでてきます。
 図2:ベータ崩壊。「弱い相互作用」により起こる。
宇宙ができたときには、相互作用は1つで、時間とともに「重力相互作用」、「強い相互作用」、「弱い相互作用」と「電磁相互作用」の4つに分かれていったと考えられています。
 図3:初期宇宙の相互作用の分岐図。日常生活で身近な「重力相互作用」と 「電磁相互作用」(γ)に加え、ニュートリノが感じる「弱い相互作用」(Wボゾン、Zボゾン)、「強い相互作用」(g)がある。
クォーク間には強い相互作用が働き、レプトン間には弱い相互作用が働きます。全てのクォークと荷電レプトンは電荷を持っているので電磁相互作用が働きます。ニュートリノは「弱い相互作用」でのみ観測されるで、日常生活でニュートリノを感じることはありませんが、実は毎秒数百億個のニュートリノが私たちの体を通過しています。
 標準理論で現れる、他の基本的物質粒子とは異なるニュートリノの3つの性質をあげておきます。
1)スピン左巻きしか見つかっていない。
レプトンやクォークはスピン角運動量をもっています。粒子の進行方向と回転の方向によって、「右巻き」「左巻き」があります。(図3参照)ニュートリノ以外の粒子はスピン右巻きも左巻きも見つかっています。
 図4:左図はスピン「右巻き」、右図はスピン「左巻き」。
2)「決してゼロではないが際立って軽い質量」を持つ。
3)電荷をもっていない。
ー ニュートリノ、不思議な素粒子なんですね。そのニュートリノのビッグバン直後の...?
 ビッグバンからおよそ100億分の1秒後、1000兆度の高温プラズマの中で、ニュートリノが示す性質を理論的に調べました。順を追って説明します。
 まず、プラズマですが、私たちの身の回りにあるプラズマとは、気体の分子が「電荷を持つ粒子」電子と陽イオンに別れて自由に飛び回っている状態です。ここで「電荷」とは、なじみのある電磁相互作用の電荷、+、ーです。今、考えている1000兆度の高温プラズマとは、4つの相互作用の中で弱い相互作用が主役で、弱い相互作用の「電荷」を持つ粒子、レプトン、Wボゾン、Zボゾンが自由に飛び回っている状態です。
 さて、ちょっと話がかわります。私たちの周りにある様々な物質は、陽子や電子などからできています。しかし、自然界にはそれらと電荷が逆の「反陽子」や「反電子」も存在します。例えば、加速器実験で反電子を作る事ができて、電子と衝突させると「対消滅」を起こし、質量が光などのエネルギーとなって放出されます。天体観測によれば、反電子や反陽子などから出来た「反物質」の世界は見当たりません。つまりこの宇宙には、反物質よりも物質の方が圧倒的に多く存在するようです。しかし、標準理論では、十分な量の「物質-反物質非対称性」(物質と反物質の量が大きく異なる)を作り出す事ができません。言い換えれば、物質-反物質の非対称性は、標準理論を超えた更に基本的な理論を見つけるヒントになりそうです。
ー 標準理論を超えた理論ですか。標準理論とはどのように違うのですか?
 標準理論にはない、質量の大きな「右巻きマヨラナニュートリノ」があると仮定しています。マヨラナニューリニの存在は「左巻きしか見つかっていない」「際立って軽い質量」「電荷を持っていない」というニュートリノの性質から示唆されます。マヨラナとは、粒子と反粒子の区別がつかない特別な粒子です。混乱をさけるため、ここでは、右巻きマヨラナニュートリノに対して、普通のニュートリノを、「左巻きニュートリノ」と呼びましょう。右巻きマヨラナニュートリノはまだ発見されていません。もし存在すれば、左巻きニュートリノ、荷電レプトン、ヒッグス粒子に崩壊します。
 図5:右巻きマヨラナニュートリノが、左巻きニュートリノと荷電レプトン、ヒッグス粒子に崩壊。レプトンやヒッグス粒子と初期宇宙の高温プラズマの相互作用 (赤丸で表示) によって、真空中の崩壊効率と大きく異なる。
重要なことは、粒子-反粒子の区別がつかないマヨラナ粒子から、粒子-反粒子の区別がある左巻きニュートリノや電子が生じること。物質-反物質の非対称性の種が作られることです。この現象を、レプトン数生成と呼びます。 さて、右巻きニュートリノがいっぱいあれば、物質であるたくさんのレプトンを作ることができて、物質-反物質の非対称性の謎に迫ることができそうな気がしてきました。(レプトン(電子)ができれば、バリオン(陽子、中性子)も作れることはあとでお話します)
 右巻きマヨラナニュートリノを大量に生成する為には、「平均エネルギー=温度」が、右巻きマヨラナニュートリノが持つ大きな質量を上回っている必要があります。ということは、初期宇宙の高温プラズマで「右巻きマヨラナニュートリノから左巻きニュートリノへの崩壊」が大量に起こったと考えることができます。高温プラズマ中での粒子の性質は、プラズマではない真空中での性質と極めて異なります。ですから、崩壊先の左巻きニュートリノなどが高温プラズマ中で特殊な性質を持てば、崩壊の効率に影響を与えて、物質-反物質の非対称性の種であるレプトン数の生成量に変更を与えるかもしれない。標準理論では理解できない物質-反物質の非対称性が導かれるかもしれないと期待できます。右巻きマヨラナニュートリノは、左巻きニュートリノの特定の振動モードに崩壊します。初期宇宙の高温プラズマに特有の振動モードとして「集団振動モード」が考えられます。実は、これは、参考文献[4]のクォーク・グルーオンプラズマの研究を知り、応用したら左巻きニュートリノにも「集団振動モード」が生じるのではないかとひらめいたんです。
ー 「集団振動モード」、ですか?
 細かい話に入る前に、集団振動モードのイメージをつかみ易い例をお話しましょう。
 音叉を用いて、2つの微妙に異なる周波数の音を鳴らすと、いわゆる「うなり」が聞こえます。「うなり」とは2つの周波数の差に起源を持つ非常に緩やかな振動で、「集団振動モード」の代表例です。それぞれの音叉の周波数振動とは何桁も異なる周波数の振動が、周波数が近いとために生じることが非自明でしょう。
 図6:周波数が微妙に異なる2つの音のうなり。
初期宇宙では、左巻きニュートリノは高温プラズマ中の粒子との無数の複雑な相互作用を通して、様々な振動モードを持ちます。その結果として「うなり」 の様な集団振動が生じ、それが右巻きマヨラナニュートリノの崩壊先に選ばれ、レプトン数の生成量が劇的に増える可能性があります。
 右巻きマヨラナニュートリノから左巻きニュートリノなどへの崩壊(図5)を考えますが、右巻きマヨラナニュートリノの質量については、実験的手がかりはなく、様々なモデルが提唱されています。私は、その中の一つであるレゾナント・レプトジェネシスに注目しました。レゾナント・レプトジェネシスでは、他のモデルと違って、右巻きマヨラナニュートリノが極端に大きな質量ではなく「電弱スケール」(近い将来、大型加速器で到達可能なエネルギー領域)の質量を持つことが可能だからです。レゾナント・レプトジェネシスでは、電弱スケ−ルのプラズマ内での右巻きニュートリノから左巻きニュ−トリノへの崩壊を考える必要があります。そこで重要な役割を持つのが電弱スケ−ルにおける左巻きニュ−トリノの振動モ−ドです。
電弱スケールにおける左巻きニュートリノの相互作用で最も重要なのはWボゾン、Zボゾンを介した相互作用です。電磁相互作用は光子(γ)によって媒介されますが、光子の「弱い相互作用」版が Wボゾン、Zボゾンです。興味深いことに、Wボゾン、Zボゾンは光子と異なり、ヒッグスメカニズムによって「質量」を持ちます。初期宇宙で、無数の粒子のエネルギーが電弱スケールにある場合、該当するプラズマの温度は1000兆度、ビッグバンからおよそ100億分の1秒後の宇宙に対応します。但し誤解しないで下さい。加速器実験でWボゾン、Zボゾンが作れるからといって、1000兆度のプラズマを直接作れるわけではありません。
 初期宇宙の歴史は、4つの相互作用の分岐の歴史です。時間を遡り、電磁相互作用と弱い相互作用の統一前後の初期宇宙に注目し、左巻きニュートリノの振動モードを計算します。
 この条件で、左巻きニュートリノの振動モードを計算したところ、非常に興味深い結果が得られました。温度がWボゾン、Zボゾンの質量と同じくらいか幾分大きい場合、左巻きニュートリノの振動モードに、3種類の集団振動モードが生じます。そのうちの2種類はよく知られた振動モードと似ていますが、それ以外にウルトラソフトモードという極めて緩やかな振動モードも存在することが判りました。
 今回わかったことの1つは、ウルトラソフトモードは、左巻きニュートリノと相互作用する粒子(Wボゾン、Zボゾン)の質量が、温度と同程度になったときに発現することです。 左巻きニュートリノ以外のすべての物質粒子は、電磁相互作用をするので、光子との相互作用があります。つまり質量が温度に比べて無限に小さく、温度と同程度になれません。 ですから、ウルトラソフトモードは、ニュートリノにのみ現れます。 また、Wボゾン、Zボゾン等のゲージ粒子が関係する理論計算においては、「ゲージ不変」な量のみが、物理的に意味を持ちます。この研究では、3種類の集団振動モードが「ゲージ不変性」を持ち、物理的に意味のあるモードであることも確かめました。
 もう1つ重要な解析があります。右巻きマヨラナニュートリノから左巻きニュートリノへの崩壊を通して作られるレプトン数は、スファレロン過程というレプトン数からバリオン数を生み出す過程によって、今、観測されている宇宙の物質-反物質の非対称性に到ったと考えられています。しかし、初期宇宙で、温度が電弱スケール程度まで下がると、スファレロン過程は凍結して起こらなくなってします。この研究では、3種類の集団振動モードが現れる温度領域は、スファレロン過程が凍結してしまう前にも存在することを示しました。 以上から、得られた3種類の集団振動モードは、物質-反物質の非対称性を議論する上で、重要な役割を果たすことができるとわかってきました。
ー 今後はどのような研究を?
 ここで計算した「左巻きニュートリノの初期宇宙における集団振動モード」は、物質-反物質の非対称性の謎に挑む、重要な情報を与えます。ここから、レプトン数はどの程度集団振動モードに影響されるか、作られたレプトン数からどの程度物質-反物質非対称性かが生じるか、生じた非対称性が観測と合っているかを明らかにしていきたいです。
 『宇宙の始まり、宇宙の起源。自然界の基本的構成要素、相互作用。初期宇宙の相転移などに興味があります。「考えること」を大切にしているので、「研究に没頭」しているのは自然なことです』とお話される三浦光太郎さん。
参考文献
[1] 今回紹介した研究が掲載された論文:

K. Miura, Y. Hidaka, D. Satow and T. Kunihiro,

"Neutrino spectral density at electroweak scale temperature",
Phys. Rev. D 88, 065024 (2013).
専門家向けセミナーのサイトに 
発表スライドがあります [2] レプトジェネシスに関する最近のレヴュー論文:
W. Buchmuller, R. D. Peccei and T. Yanagida,
Ann. Rev. Nucl. Part. Sci. 55, 311 (2005), 

[3] 電弱スケールにおけるレゾナント-レプトジェネシス:
A. Pilaftsis and T. E. J. Underwood,
Phys. Rev. D 72, 113001 (2005),
[4] 本研究の動機付けとなった QGP における集団振動モードの論文:

M. Kitazawa, T. Kunihiro and Y. Nemoto,
Prog. Theor. Phys. 117, 103 (2007) ;

D. Satow, Y. Hidaka and T. Kunihiro,
Phys. Rev. D 83, 045017 (2011) .
(文:素粒子宇宙起源研究機構広報室 木村久美子)
http://www.kmi.nagoya-u.ac.jp/jpn/spotlight/spotlight03_1.php








イメージ 1




イメージ 2
回転する素粒子。クォークや電子などの素粒子は自分自身の周りを回転している。進行方向に向かって時計回り(右巻き)に回る素粒子と反時計回り(左巻き)に回る素粒子があるが、「弱い相互作用」が働くのは左巻きの素粒子だけである。



ヒッグス=ダークマター

五次元が存在するとすればビックバンの時に作られた
ヒッグスと言う物質がそのまま存在し續ける、という事になるようだ。
ダークマターとよばれているものと同じ物を意味する事になる。
それが証明されることは数年で可能だと言う。
そうだとしたらどうなるのだろうか。
宇宙論は根底からひっくり返るのだろうか?
タイムマシンは可能か?
E=MC2+λαと言うことなのだろうか?
単なる標準理論の側面的な理論なのだろうか?
何となくワクワクする
ダークマター=エーテルと言うことなのだろうか?



謎の2粒子は正体同じ!?阪大教授が新宇宙理論
1月5日3時7分配信 読売新聞

 ノーベル賞を受賞した南部陽一郎博士の理論からその存在が予測されたヒッグス粒子が、宇宙を満たす謎の暗黒物質(ダークマター)と同じものであるという新理論を、大阪大の細谷裕教授がまとめた。

 “二つの粒子”は、物理学の最重要テーマで、世界中で発見を競っている。暗黒物質は安定していて壊れないが、ヒッグスは現在の「標準理論」ではすぐに壊れるとされており、新理論はこれまでの定説を覆す。証明されれば宇宙は私たちの感覚を超えて5次元以上あることになり、宇宙観を大きく変える。

 ヒッグスは、質量の起源とされ、普段は姿を現さないが、他の粒子の動きを妨げることで、質量が生まれるとされる。一方、衛星の観測などから宇宙は、光を出さず安定した暗黒物質で満ちていると予想されている。細谷教授は、宇宙が時間と空間の4次元ではなく、5次元以上であると考え、様々な粒子が力を及ぼしあう理論を考えた。その結果「ヒッグスは崩壊せず、電荷を持たない安定した存在」となった。

 欧州にある世界最大の加速器(LHC)では最大の課題としてヒッグスの検出実験が行われる。ヒッグスが不安定なら、崩壊時に観測が可能だが、細谷理論のように安定だと観測できない。ただ、新たな実験手法で検証は可能という。

 一方、暗黒物質候補も09年末、「発見の可能性」が報告されたが、細谷理論と矛盾しないという。

 細谷教授は昨年8月に欧州の物理学誌に新理論を発表。秋に来日した南部博士にも説明した。南部博士は「今まで誰も気づかなかった見方で、十分あり得る」と評価したという。

 小林富雄・東京大教授(素粒子実験)の話「美しく素晴らしいアイデア。数年で新理論を検証できる可能性がある」

 ◆標準理論 物質や力の成り立ちを説明する理論。宇宙の四つの力のうち重力を除いた電磁気力や弱い力、強い力を説明する。物質になぜ重さがあるのかを説明する南部博士の理論などが基礎になっている。


ヒッグスに付いてのキジを見つけた
~ 宇宙に埋まった質量の種 ~

最近体重が増えてきたと悩む人は多いかもしれません。真の原因は他にあるでしょうが、もっと根本的な疑問に頭を悩ませれば体重のことは忘れられるかもしれません。例えば、そもそも物質に重さがあるのはなぜか?それが今日の主題です。

ジャイロボールと素粒子の質量

物質をどこまでも細かく見ていくと素粒子に行き着きます。クォークや電子といった素粒子の世界にまでさかのぼってみると、物質に質量があるのは素粒子が質量を持っているせいだということになります。それですむのであれば物質の質量の疑問はこれで終わりなのですが、実は素粒子の世界にはこれではすまない事情があるのです。

素粒子は自転しています。野球のピッチャーが投げるボールはたいていどちらかの方向に回っていますが、あれと同じように素粒子も回っているわけです。ただし、ミクロの世界では回転の仕方が限られていて、時計回り(右巻き)に回っているか反時計回り(左巻き)に回っているかのどちらかです。ボストン・レッドソックスの松坂大輔投手は魔球「ジャイロボール」を投げるそうです。ボールの進行方向と回転軸がそろっているのがジャイロボールで、右投げの松坂投手が投げるボールは右巻きになります。

素粒子の世界を支配する4つの力のひとつに「弱い相互作用」というものがあります。中性子のベータ崩壊を引き起こすこの相互作用は、驚いたことに左巻きの粒子にしか働かないことがわかっています。私達の身の回りでは右利きと左利きで自然法則が違うようには見えませんが、素粒子の世界では右巻きの粒子と左巻きの粒子は、別の法則に従っているのです。むしろ右巻き粒子と左巻き粒子は別の素粒子と考えたほうがいいくらいです。

このことと質量とが関係しているのは、アインシュタインの相対性理論から導かれます。相対性理論によれば、あらゆる粒子は光速より速く飛ぶことはできず、光速で飛ぶことができるのは質量ゼロの粒子だけです。光速で飛ぶ粒子を追い越すことはできませんから、もしこの高速で飛ぶ粒子が右巻きに回っていたら、それは誰が見ても右巻きです。ところが、質量をもつ粒子の場合は決して光速で飛ぶことはないので、何とかしてその粒子より速く飛ぶことができれば、その粒子は反対方向に走っているように見え、もともと右巻きだった粒子は左巻きに見えます。質量がある粒子では、このように右巻きか左巻きかがあいまいになってしまうのです。これは右巻き粒子と左巻き粒子が合体したと思ってもいいでしょう。もともと素粒子は右巻きと左巻きが別の粒子だったことを考えると、質量を持つということは素粒子にとっては大事件であることがわかります。

ヒッグス粒子がすべてを解決する?

数ある素粒子の中で、右と左をくっつける役割をしてくれるのはヒッグス粒子だけです。ヒッグス粒子が触媒になって右巻きと左巻きが合体し、素粒子が質量をもつようになる。これですべてが解決するような気がしますが、ちょっと待ってください。ヒッグス粒子はいったいどこにあるのでしょう? 巨大加速器を使った実験でもいまだに見つかっていないのです。見つかってもいないものがすべての素粒子に質量をあたえるという重要な仕事をできるでしょうか?

答えは真空にあります。つまり、真空にはヒッグス粒子がびっしりと埋まっていると考えるのです。他の素粒子は、真空中に埋まったヒッグス粒子を触媒として右巻きと左巻きが合体し、質量をもった粒子になる。これが、現代物理学が予想する質量の起源です。

本当に埋まっているのなら十分なエネルギーを与えれば出てくるはずです。これこそが、これからの加速器実験 LHC と ILC の役割です。真空中の一点に膨大なエネルギーを注ぎ込むことでヒッグス粒子をたたき出してやろうというわけです。果たして本当にヒッグス粒子が出てくるのか?実験の結果が楽しみです。

真空は大入り満員

実はこの話はここで終わってはいません。陽子・中性子を作っているのは3つのクォークですが、ヒッグス粒子によって作られたクォークの質量はとても小さく、陽子・中性子の質量の2%分ほどしかありません。では、残りの98%はどこから来たのか?

答えの鍵はまたしても真空にあります。真空にはヒッグス粒子のほかにも、クォークと反クォーク(クォークの反粒子)のペアがぎっしりと埋まっているのだと考えられています。クォークがこのクォーク・反クォークペアの海の中を進もうとすると、いつもペアにぶつかってスムースに進むことができなくなります。こうしてクォークはもともとの小さな質量よりもはるかに重くなり、これが陽子・中性子、そして物質の質量となるというわけです。質量を作る種は真空に埋まっているのですが、それは1つではなく、まずヒッグス粒子、そしてクォーク・反クォークペアの二幕構成になっているのです。

二幕目の主役は量子色力学

第二幕目では、クォークは他の粒子に手伝ってもらうわけではなく、いわば自分が自分に重さを与えるという、ちょっと手品みたいなことになっています。ここでの主役は、「強い相互作用」の基礎理論である量子色力学(QCD)です。QCDが作る強い力によってクォークと反クォークは互いに強く引き合って、ついには真空中に埋まりこみ、自分自身に質量をあたえるというわけです。

質量を生み出す種は、何もないと思っていた真空に、しかも2種類も隠されていたのです。

かつて30年ほど前に重力研究所の清家新一は大陸書房からシリーズでこの辺の事を書いた本を出した。難しい式を沢山いれた内容だった。「宇宙単極粒子」と言うアイデアを思い出す。それは確か右巻きと左巻きがあってぶつかると対消滅するという事だったように思う。電子も陽電子と陰電子がぶつかって対消滅する。そして宇宙の始まりの頃はその陽電子と陰電子がぶつかって対消滅した、そして陰電子が少し多かったので今のように電子はマイナスなのだ、という理論を言っていたと記憶している。20年くらい前だろうか、今はなき深野一幸は「単極磁子」としてそれを説明していた。10のマイナス23乗と言う細かな粒子だと説明していた、あるいは32乗だったかもしれない。これが今回のヒッグスでありダークマターであると思う。清家はこれを「ゼロ点エネルギー」とリンクして論じていた様に思う。

数年前に南山宏はアメリカのデビット・ハドソンが発見したホワイト・パウダー・ゴールドを説明している。それはブラックマターと共に熱い議論を呼んでいるエキゾティックマターと呼ばれるものだ。
「何時も特定の温度に達したとたんに、白いビーズ状物質は光りだして、量子力学で言うハイスピンで単原子のパウダー(粉末)状態に分解した事が分かった。・・・・・ホワイト・パウダー・ゴールドが加熱と冷却で超伝導になったとすれば、これは新タイプの天然型超伝導現象と言う事になる。・・・・パソフ博士は重力をゼロポイント・エネルギー波動の力とみて、物質がこの3次元世界と別次元の両次元にまたがって反応を始めると、理論上その引力重量が9分の4を失うはずと予測していた。これは44%で、実験中にホワイト・パウダー・ゴールドの重さが56%にまで減少した事実とぴたりと合致する。・・・・このハイスピン単原子パウダーつまりホワイト・パウダー・ゴールドこそが、はるか昔の王たちを超人たらしめたスターファイヤーの代替薬ーー“高進する火の石”シェマンナ、マナ、ヘレムバニム、シェッファ、ムフクズティの正体であり、また真のラピス・エリキシル、金丹薬、賢者の石であり、そして現代のエキゾティックマターであるならば、これまでの文明の謎とされ、人類の夢とされ、現実不可能とされてきた様々な分野にまたがるスーパーテクノロジーが、いっぺんに達成可能な未来の現実へと近づくことになるだろう」

この「ハイスピン単原子」には重力が減る事になっているところが、そして原子、物質が変わっていくように見えるところが凄い。何か今回のダークマター=ヒッグスが5次元で関係しているのではないかと思えて来る。重力と時間と物質に直接関係しているように感じる。夢は膨らむ。
今回細谷教授はヒッグスは電荷を持たない安定した形で残ったとしてそのビッグスが合体して素粒子なり陽子、中性子になったとしていると思う。そこが対消滅するとした清家と異なったところなのだろう。清家は5次元のファクターを入れていなかったのではないか。勿論ゼロ点エネルギーとのリンクの中で入ってきていたのだろうけれど今印象が無い。4冊の中で「宇宙の4次元科学」と言う本がメインの理論書だった。

http://blogs.yahoo.co.jp/nagaiufo/33773012.html

0 件のコメント:

コメントを投稿